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実施記録

学会での研究発表支援学会での研究発表支援


成果報告書

大学院4年 耳鼻咽喉科頭頸部外科学 青山猛

■発表学会・場所: Combined Otolaryngological Spring Meeting(COSM)2010 Las Vegas, Nevada, USA
■日時: April 28-May 2,2010
■演題(タイトル): Effects of Nerve-Muscle Pedicle on the Rat Immobile Vocal Fold in the Presence of Partial Innervation



発表内容:
声帯麻痺症例の中には、反回神経が完全に脱神経されていない症例が含まれます。このような場合、麻痺側の甲状披裂筋には反回神経支配が残存していると考えられます。この反回神経支配が残存している甲状披裂筋に、他の神経を用いた神経再建術を行うことで新たな神経再支配を期待できるか否かは、いまだ明らかではありません。そこで反回神経支配の残存するラット甲状披裂筋に、頸神経を用いた神経筋弁移植術を行い、甲状披裂筋に頸神経からの神経支配が起こるかどうかを検討してみました。結果として、神経筋弁移植を行ったすべてのラットにおいて、反回神経と頸神経の各々を刺激することで甲状披裂筋に複合筋活動電位を認め、神経筋弁移植を行ったラットの甲状披裂筋の面積が増加し、神経筋接合部の神経終末数とアセチルコリン受容体数が増加しました。まとめとして、反回神経支配の残存するラット甲状披裂筋に頸神経を用いた神経筋弁移植をすることで、甲状披裂筋が反回神経と頸神経の両者から神経支配を受けることが判明しました。

質疑応答:
特に質問はされませんでしたが、神経筋弁移植術の権威のタッカー氏からコメントを頂きました。内容としては、「長年の懸案であった神経筋弁移植術による神経の二重支配について、疑問が1つ解決された」と言われました。この実験の成果を認められた気がしました。

学会の雰囲気:
学会がカジノの本場ラスベガスで開催されたため、会場から一歩踏み出せば周囲はルーレットの回る音と一喜一憂する大柄なアメリカ人の大声で盛り上がっていました。一見、学会会場としては、不適のように思えるかもしれませんが、逆に参加者をアットホームな感じにさせてくれました。また、ラスベガスは観光地でもあるため多国籍の人々がいて、日本人である僕がそこに居ることに何ら違和感を感じさせず、ラスベガスの風景に自然に溶け込んでいました。

質疑応答中 ポスター現場


開催地の雰囲気:
ラスベガスはアメリカの大西部の砂漠に忽然と現れたネオンの塊で、アメリカ人にとって“旅行してみたい街”の断然トップだそうです。今回学会で訪れて、納得させられました。この町はあらゆる角度から人々を楽しませてくれ、一歩踏み入れれば我を忘れさせてくれる夢のような町だからです。まずは、大通りの両側に建ち並ぶ巨大なテーマホテルとカジノです。これらはすべてテーマをもっており、パリあり、ベネチアあり、ニューヨークあり、エジプトありとラスベガスを歩くだけで世界旅行をしている気分にさせられました。また、ラスベガスではカジノと並んで見逃せないのが華やかなショーで、僕は宝塚劇団のようなショーをみました。それ以外に無料アトラクションもたくさんあり梯子し全て観覧しました。そして圧巻は、フリーモントストリート・エクスペリエンスのアーチ型の屋根にさまざまに浮き上がる映像で、ショーガールの歌や踊りを披露してくれました。

質疑応答中 ポスター現場 ポスター現場
ラスベガスブルーバードストリート
(ラスベガスのストリート)
華やかなショー フリーモントストリート・エクスペリエンス
(アーケードのネオンショー)


大学院生学会発表旅費等支援と学会に関する感想:
研究においては結果が求められるものですが、幸いにも今回その成果を国際学会で口演する機会を与えられました。国際学会に参加するためには、いろいろと出費がかさむため、普通ならば避けて国内学会の発表で済ませようと思いますが、今回のCOSMへの参加の申し込みのきっかけの一つにこの大学院生学会発表旅費等支援がありました。やはり、経済的支援により国際学会に参加したいという意欲が増したし、また、支援されることで学会発表のため、「頑張らなければいけない」というモチベーションも高くなりました。今後もこの経験を生かし、さらに自分の研究分野を追究していきたいと思います。