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実施記録

学会での研究発表支援学会での研究発表支援


成果報告書

大学院4年 移植外科学 大矢 雄希

■発表学会・場所:American Transplant Congress 2010, San Diego Convention Center, San Diego, California
■日時: 2010年5月1日~5月5日
■演題(タイトル): Impact of recipient-derived cells on the progression of familial amyloidotic polyneuropathy after liver transplantation


発表の概要:
家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)に対して、治療として肝移植が施行されているが、肝移植後も一部の患者で症状が進行することが知られている。また、移植肝においてレシピエント由来の細胞が存在することがしられている。これらのことから、レシピエント由来の細胞が移植肝において肝細胞に分化し、異型トランスサイレチンを産生することで症状が進行している可能性がある。そのため移植肝におけるレシピエント由来細胞が肝移植後のFAP患者の病状の進行に影響しているかどうかを7例の肝移植後のFAP患者を対象として検討した。7例中の1例においてXY染色体に対するFISHを行い、移植肝にレシピエント由来の細胞があることを確認した。レシピエント由来の細胞が肝細胞に分化すればトランスサイレチンを産生すると考えられるので7例中5例において血清中の異型トランスサイレチンの存在の有無をマススペクトロメトリーにて施行したが、血清中に異型トランスサイレチンは認めなかった。7例中3例において移植肝における異型トランスサイレチンの発現をリアルタイムPCRにて解析を行ったが、発現は認められなかった。今回の検討では、移植肝は異型トランスサイレチンを産生しておらず、移植肝のレシピエント由来の細胞は肝移植後のFAP患者の症状の進行には影響を与えていないと考えられる。

学会会場(San Diego Convention Center) ポスター発表
学会会場(San Diego Convention Center) ポスター発表


質疑応答:
移植肝におけるレシピエント由来の細胞が、肝細胞であることが確認できているのかどうかとの質問があり、移植肝においてレシピエント由来の細胞が存在するのはFISH にて確認できているが、移植肝におけるレシピエント由来の細胞が肝細胞であることは、確認できていないことを説明した。

学会の雰囲気:
American Transplant Congressは、移植に関する臨床および基礎の研究者が世界中から集まる学会です。学会会場も非常に広く、様々な演題が多くの会場で同時に行われているため興味のある会場間を移動しなければなりませんでした。早朝から夕暮れ時まで参加者も多く、議論も活発で圧倒されました。ポスター会場では、ビールなどを飲みながら活発な討論が行われました。

開催地の雰囲気:
ロサンゼルスから南へ約160km、メキシコ国境に接するサンディエゴは、メキシコ文化も感じられる土地であり、湿度が低く非常に過ごしやすい気候でしたが、日差しがとても強くホテルから学会会場まで歩くだけで日焼けする程でした。食べ物もメキシコ風の料理も楽しむことが出来ました。サンディエゴには、サンディエゴ動物園、サンディエゴ・ワイルドアニマルパーク、シーワールド・カリフォルニア、レゴランド・カリフォルニアなどの観光地があります。また、サンディエゴ・パドレスの本拠地であるペトコパークがあります。ペトコパークは日本が優勝した前回のWBCの決勝が行われた球場で学会会場からも近く歩いて数分で行くことが可能でした。

開催地の雰囲気 開催地の雰囲気 開催地の雰囲気


大学院生学会発表旅費等支援と学会に関する感想:
国際学会に参加することは、他の研究者の最新の研究を直接きくことが出来る上に自分の研究に関しても様々な人から意見をきくことが出来て非常に有用ですが、旅費等の問題でなかなか参加できない場合もあります。しかし、今回はこのような大学院生学会発表旅費等支援により、ATCに参加することができ非常に感謝致しております。ATCで得られた知識や意見を参考に今後の研究を行いたいと思います。また、今後、国際学会で発表できるような研究を行いたいと思うとともに、積極的に国際学会にて発表したいと思います。