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実施記録

学会での研究発表支援学会での研究発表支援


成果報告書

大学院2年 循環器病態学分野 荒木 智

■発表学会・場所: American Heart Association, Scientific Sessions 2010 in Chicago
■日時: November 13-17, 2010
■演題(タイトル):
(1) Sirt7 Deficiency Increases the Risk of Cardiac Rupture after Murine Model of Myocardial Infarction
(2) Akt1-mediated skeletal muscle growth attenuates cardiac dysfunction and remodeling after experimental myocardial infarction

発表の概要:
(1) NAD+依存性ヒストン脱アセチル化酵素であるSirtuin familyの一員であるSirt7の心筋梗塞後のリモデリングのおける役割をSirt7 ノックアウトマウスを用いて検討した。野生型マウスでは心筋梗塞巣でSirt7の発現が亢進していた。Sirt7 ノックアウトマウスでは心筋梗塞後の心破裂のリスクが著明に高まり、その原因として不十分な線維化・炎症反応、Acetyl-p53を介した血管新生因子の低下が示唆された。

(2) 心不全患者の非薬物療法の一つとして心臓リハビリテーションの重要性が再認識されており、格筋量の増大を目的としたレジスタンストレーニングを行うことの有用性・安全性が報告されているが、その機序はよく解明されていない。今回、Tet-Onシステムを利用し任意の時期にAkt1遺伝子を過剰発現し、骨格筋肥大が誘導できるトランスジェニックマウスを作製し骨格筋量の増大が心筋梗塞後の心機能や線維化、心不全にどのような影響を与えるかを検討した。骨格筋量の増大は梗塞後のリモデリングを抑制し、その機序として血管新生因子の増加とそれに伴う新生血管の増加の関与が示唆された。


学会の雰囲気:
 今年のAmerican Heart Association Scientific Sessions(AHA)はアメリカのChicago/ M McCormick Place Convention Centerで開催された。Chicagoはコンベンション・シティとして国際会議や国際的な見本市が一年を通じて頻繁に行われており、本会場も端から端まで徒歩で10分以上かかるほどの大きさであった。また最先端の研究が発表されるため、世界各国から多くの人々が参加しており、ポスター発表であっても盛んな討論が行われていた。朝早くのポスターの発表時間外でも様々な場所で人だかりができており、活動性の高さに圧倒されてしまった。

開催地の雰囲気:
 シカゴは米国の中央より北東に位置するイリノイ州にあり、街の東側にはアメリカ五大湖のひとつであるミシガン湖が広がっている。緯度は函館とほぼ同じであり、かつミシガン湖からの強い風が吹くことから、熊本と比べると11月ながらとても寒さはきびしかった。
 一方アメリカ第3の大都市であるシカゴには、マグニフィセント マイルと呼ばれる高級ブランドは勿論の事、ナイキタウンや 有名デパート、レストラン、ギャラリーなどがある1km弱の通りがあり、ウインドウショッピングがてら散歩するだけでも楽しいものであった。
 またクリスマスセールが始まる時期でもあり、華やいだ雰囲気の街並みに、発表のストレスと長旅に疲れた体が癒されるようであった。


学院生学会発表旅費等支援と学会に関する感想:
研究を行う上で、論文発表が最終的な目標である。しかしその過程で様々な意見を聞き、刺激を受けることはモチベーションを保ち、また新たな視点で研究を行うことつながり非常に有用であると思われた。しかし、学生にとって最も問題となることは渡航費用である。この学生学会発表旅費等支援により、金銭的な援助を頂けたことで安心して研鑽に励むことができ非常に有用な制度であると感じた。