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実施記録

学会での研究発表支援学会での研究発表支援


成果報告書

大学院1年 微生物学 小山 耕太

■発表学会・場所: The 5th Joint meeting of the Society for Free Radical Research Australasia and Japan (SFRRA) 2009・University of Sydney, Sydney, Australia
■日時: 2009年12月1日~12月4日
■演題(タイトル): A novel activating mechanism of protein kinase G (PKG) by a nitrated derivative of cGMP

発表内容:
今回、私は初めての国際学会となる本学会の参加機会を頂き、ポスター発表をさせて頂きました。ポスターは本会期中の全期間で掲示され、第3日にポスターセッションが行われました。ポスターセッションは、セッション時間帯に自分のポスター前に立ち、そこに集まった聴衆に対し適宜ディスカッションをするというものでした。今回のポスターセッションではBiochemical Journal Young Investigator Award (YIA)の選考もあわせて行われました。YIAに自ら応募した訳ではないのですが、聴衆の中にYIAの審査委員(当然覆面でした)が含まれており、これらの審査委員によりポスターの評価がなされました。評価方法はそれぞれの審査委員による投票形式です。そこで、自身初となる英語でのプレゼンテーションをさせて頂きました。内容は一酸化窒素(NO)が過剰に産生される病態(特に感染症)において、

1. cGMPがニトロ化を受け8-ニトロ-cGMPを生成すること、
2. 8-ニトロ-cGMPは蛋白質のシステイン残基と反応し、これにcGMPを付加する新しい蛋白質翻訳後修飾 (S-グアニル化) をもたらすこと、
3. S-グアニル化を介してcGMP依存性protein kinase G (PKG)が持続的に活性化されること等、口頭で説明し、その後質疑応答の運びとなりました。

質疑応答:
・cGMPのニトロ化が起こることは理解できたが、脱ニトロ化は起きるのか?
答え:確かに化学反応において、酸化に対する還元の様にニトロ化に対する脱ニトロ化の疑問は当然出てくる。現在、脱ニトロ化反応が生態内で実際に起こっていることを示唆する知見が得られつつあり、更に詳細な分子メカニズムを解析しているところである。

その他、S-グアニル化の特異性について等、非常に活発な質問が飛び交い、新たな課題を得ることができました。

学会の雰囲気:
学会全体としては学生、教員の分け隔てが全くなく、率直に疑問に思ったことを質問し、それに対し丁寧な説明を頂ける、非常にアットホームな雰囲気でした。実際、ポスターセッション中、発表者(著者も含め)、聴衆の方々は皆、片手にシャンパンを持ち実に和やかな雰囲気でした。

学会参加・発表で得られた成果:
非常に光栄なことに最終的に英国の生化学会が運営する国際的学術誌であるBiochemical Journalより全107名の発表者の中から1名に授与されるBiochemical Journal Young Investigator Awardの表彰を受けることができました。なお、選考結果については、Biochemical Journalのホームページ(http://www.biochemj.org/bj/news/poster_winners/Oyama_K.htm)に紹介されています。

開催地の雰囲気:
私事ではありますが、中学~高校までニュージーランドに在住した経緯があり、町並みや現地の人々の人柄は非常に似ているという感じを受けました。スポーツにおいてもサッカーよりラグビー、野球よりクリケットといった文化もニュージーランドと同じです。

大学院生学会発表旅費等支援と学会に関する感想:
大学院に入学して8ヶ月程の私にはあまりにも大きな賞を受賞することができ、研究におけるモチベーションが相当上がりました。今後としては、現在の研究をさらに発展させ、論文発表することを目標に実験を進めたいです。学会で発表することは、研究者として「やらなければならない仕事の一つ」。どちらかと言えば受動的な大学院生の研究において、自ら、能動的に行動することができ、自分の研究を周りに知らしめる大きなチャンスにもなります。支援プログラムの助成は、研究に勤しむ院生の可能性を広げてくれるものだと思います。