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実施記録

学会での研究発表支援学会での研究発表支援


成果報告書

大学院3年 病態情報解析学 末吉貴直

■発表学会・場所: XII INTERNATIONAL SYMPOSIUM ON AMYLOIDOSIS
イタリア(ローマ)
■日時: 2010年4月18~21日
■演題(タイトル): Transthyretin-derived amyloid deposition in ligaments and tendons of various organ sites

発表の概要:
トランスサイレチン型アミロイドーシス(家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)及び全身性老人性アミロイドーシス)は、骨軟部組織にもアミロイド沈着をきたすが、その実態、病態は不明であり、見逃されているケースが多いと予測される。今回、手根管症候群、肩腱板断裂、脊柱管狭窄症111例についてのアミロイド沈着を検索し、39例がトランスサイレチンアミロイドーシスであった。手術時平均年齢もトランスサイレチン陰性群と比較し、トランスサイレチン群が優位に高く、そしてそれは、過去に報告されている全身性老人性アミロイドーシスにおける平均年齢よりも若いことがわかった。この局所のトランスサイレチンアミロイドーシスが全身性アミロイドーシスの一部なのか、全く別の病態なのかというのが今後の課題である。

質疑応答:
この研究では局所沈着を認めた症例が全身性アミロイドーシスの一部なのか、局所アミロイドーシスなのか、明確にされていない。精査をする際には皮膚生研が有用であるというアドバイスを頂いた。また、おそらく診断がつかずに見逃されているケースも多いと思われる。現時点での他臓器への沈着の有無や、後に全身性アミロイドーシスへと進展していくかどうか、フォローアップが重要であり、病態との関連の解明へ向けて整形外科医への啓蒙も必要と考えられる。

学会の雰囲気:
イタリアでの開催であったが、ちょうどアイスランドの火山と重なり、約半数の方が参加できず、そのこともあってか、終始アットホームな雰囲気であった。そんな中で行われた安東教授の講演はさすがで、拍手と歓声とともに始まったかと思うと、聴衆の心をつかみ、称賛の中あっという間に過ぎていった15分間であった。

開催地の雰囲気:
世界遺産の宝庫、イタリア、特にローマは1日では見て回れない程の観光名所が目白押しで歴史の重みを感じる都市であった。さすがに観光客の多さには驚かされたが、料理はおいしく、人柄も気さくで、またゆっくり訪れたいと感じた。

大学院生学会発表旅費等支援と学会に関する感想:
海外での学会はとても勉強になり、1年に1回は参加したいと思うが、交通費だけでも高額になるので、そう何度も行けるわけではない。前回ロンドンでの学会では旅費支援を受けていなかったため、2度と行きたくなくなるような額であったが、このような支援を頂けるのであれば、参加回数も増えるし、より多くの人が参加できるようになると思われる。