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実施記録

学会での研究発表支援学会での研究発表支援


成果報告書

大学院2年 病態情報解析学 蘇宇

■発表学会・場所: XII INTERNATIONAL SYMPOSIUM ON AMYLOIDOSIS
イタリア(ローマ)
■日時: 2010年4月18~21日
■演題(タイトル): Clinicopathologic findings in Japanese patients with senile systemic amyloidosis(SSA)

発表の概要:
トランスサイレチン(TTR)がその病態の原因蛋白質となる疾患として、変異型TTRがアミロイドを形成する家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)に加え、野生型TTRが前駆蛋白質となり、主に心臓、肺などにアミロイド沈着を認める老人性全身性アミロイドーシス(SSA)が注目を集めている。欧米では、80 歳以上の約25%に本疾患が認められるとされるが、日本での本疾患の発症頻度については不明である。本研究の目的は日本人高齢者におけるSSAの発症頻度とアミロイドの沈着パターンを明らかにすることである。全181例中17例 (9.7%) でコンゴ・レッド陽性像を認め、5例でその陽性像に一致して抗TTR抗体による免疫染色が陽性であったことよりSSAが疑われた。SSAの発症頻度は年齢とともに増加しており、69歳以下ではSSAを認めなかった。アミロイド沈着は心臓、肺以外にも消化管を中心に種々の臓器で認められた。80歳以上の日本人の19%にSSAを疑わせるアミロイド沈着があることがわかった。高齢化社会においてはSSAの存在を常に念頭に置き、TTRアミロイド沈着を認めた場合は、質量分析装置や遺伝子検査によりFAPとの鑑別を行う必要がある。

質疑応答:
学会で、ポスターの写真について、質問をくれました。「質問」何で十二指腸を注目しましたか?「回答」十二指腸の生検はSSA診断方法の一つである。この写真は十二指腸アミロイド沈着の場所を示しているから、今後SSAの診断に有用になると思う。

学会の雰囲気:
今年のINTERNATIONAL SYMPOSIUM ON AMYLOIDOSISはイタリアのローマで開催された。世界中からアミロイドシース領域の研究者が集まり、大規模の学会である。そのため、注目の発表には多くの参加者が集まり、口頭発表の会場でも、ポスター発表でも議論が交わされていた。

開催地の雰囲気:
ローマが集まる観光都市である、世界遺産の宝庫と言われている。代表的なヨーロッパ建築スタイルの建物があるローマが観光客の多さには驚かされた。芸術をどこでも感じられた。また、本格のイタリア料理もおいしく、特別な商品も多くで、もう一度旅行しに行きたいと感じた。

大学院生学会発表旅費等支援と学会に関する感想:
アミロイド国際の学会に勉強しに行きましたが、色々な演題とポスターを見ましたから、アミロイドについて大変勉強になりました。今回の成果を今後の研究に活かしたいと思います。将来、他の学会にも参加したいと思います。この大学院生学会発表旅費等支援により、金銭的な心配なく学会に出席できたことは非常にありがたいと思う。