TOP

実施記録

学会での研究発表支援学会での研究発表支援


成果報告書

大学院4年 視機能病態学 原竜平

■発表学会・場所: Crown Plaza Hotel Rome St.Peter''s. Roma Italia
■日時: April 18-21. 2010
■演題(タイトル): Novel Therapy for Transthyretin–related Ocular Amyloidosis

発表の概要:
筆者らは家族性アミロイドーシス(FAP)の眼合併症は肝臓移植後も進行しうる事を明らかにした。肝臓移植により生命予後が改善されたFAP患者において眼合併症、特に硝子体混濁や続発緑内障はQuality of lifeを大幅に低下させるため、眼合併症の進行を抑制する事は急務である。我々は左右同程度の硝子体混濁を示すFAP患者2名の片側に汎網膜光凝固(PRP)を行ない3ヶ月毎に3年経過観察した。その結果、PRPを行なわなかった眼は進行したのに対し、行なった眼はFAP眼合併症の進行が抑制され、更に凝固斑の周囲には新たなアミロイド沈着がない事を明らかにした。新たな予防的治療法として眼科領域ではよく行なわれ、しかも安全性の確認されているPRPは、FAPの眼合併症の進行防止に有用である事を示した。

質疑応答:
Q1.網膜全体の何%を凝固するのか。
A1.一般的に汎網膜光凝固は網膜全体の30%と言われている。更に、進行が認められる際は凝固感覚を密にする事により、更なる光凝固の追加が可能である。
Q2.一回の治療でどれだけの時間がかかるのか。
A2.通常は汎網膜光凝固を完成させるのに4-6回に別けて行なう。一回に行なう光凝固数が多いと炎症反応のため視機能が低下する事があるためである。1回の治療時間は15-20分程度である。

その他感想:
今回、当発表にてBest Poster Awardを受賞した。
受賞のお祝い@Crown Plaza Hotel

学会の雰囲気:
今年のInternational symposium on Amyloidosisはイタリアのローマで開催された。 学会開催直前にアイスランドの火山が噴火するという大災害が起こり、ヨーロッパのハブ空港であるヒースロー空港、フランクフルト空港、シャルル・ド・ゴール空港が閉鎖されたため、参加人数も例年に比べ少ないようであったが、注目の発表には多くの参加者が集まり、発表会場では活発な議論が交わされていた。ポスターブースでも多数の人が質問や討議を行なっている風景が見受けられた。

開催地の雰囲気:
ローマは三千年前から栄えていた都市であり、様々な時代の遺跡/遺構が入り交じっている。「遺跡の上に現在の人々が住む」と話しは聞いていたが、遺跡の一部をアパートに改築して住んでいるのを見た時は、「遺跡の中に現在の人々が生活している」のが正解だと思った。大学生時代から古代ローマ史に没頭していた私にとっては、生涯忘れられない風景の連続であった。ローマ観光での最大の感激は、ガイドブックには殆ど記載されていないアッピア街道まで足を伸ばし、実際に紀元前312年に敷かれた道を歩いた時で、今でもその風景は忘れられない。よくわからないままにも文句一つ言わずに一緒に歩いてくれた末吉先生に感謝します。

大学院生学会発表旅費等支援と学会に関する感想:
研究のモチベーションを保つ要因の一つとして成果を学会発表する事である。学会には期限があり、その期限までに形をつけるために今現在やらなければ行けない事を計画しなければならない。それが国際学会であればそのモチベーションは上がる。更に行ってみたかった都市であれば尚更である。しかし、海外において開催される学会に出席するための費用は決して安いわけではない。この大学院生学会発表旅費等支援により、金銭的な心配なく学会に出席できたことは非常にありがたいと思う。今回、International symposium on Amyloidosisに参加し、自分の研究分野を中心に勉強したことを今後の研究に生かしたいと思う。

St.Angelo城

コロッセオ

アッピア街道のマイルストーン